外国につながる子どもたちへの支援について1

 

1.教育の機会の保障

2019年に日本語教育推進に関する法律によって定められた就学促進・就学状況の把握等に関する指針により、すべての外国人児童生徒の受け入れ環境の整備が求められます。

日本語指導が必要な児童生徒数は日本全体で10年前の1.8倍となっており、千葉市の在留外国人は約4万人となり、市民の4%を占める状況です。

地域で共生する社会の構築のため、ともに学ぶ環境は重要です。

質問1-1

   千葉市における就学状況の把握についてお示しください。

答弁 

(教育委員会学校教育部学事課)  

住民登録のある新入学学齢期の外国籍の子どもについては、保護者へ就学希望確認書を送付し、就学希望の有無を確認しております。また、学齢期児童生徒の国外又は市外からの転入の際は、各区役所にて、同様に就学の意思確認をしているところです。

さらに、児童生徒の就学状況を確実に把握するため、住民登録があり就学状況が明らかでない外国人児童生徒については、各学校における家庭訪問や、出入国記録の照会等を通じ、在籍確認を行っております。

本市の学齢簿に登録されている外国籍の児童生徒数は、昨年5月1日現在で2,177人であり、そのうち、1,980人が小・中・特別支援学校等の義務教育諸学校に就学しています。その他の197人については、インターナショナルスクールへの通学等や転居・出国をしております。

なお、本年2月1日現在、就学状況が確認できない児童生徒は1人であり、区役所に所在確認を依頼しています。

年間200名程度の学齢期の転入がある中で、長期に就学が確認できないケースには、教頭先生が家庭訪問により就学状況の確認をされていると伺っています。

業務多忙が問題の今、また今後の転入増加が見込まれる中、今後の対応については検討が必要ではないでしょうか。

 

2.学校における日本語習得

日本語指導が必要な児童生徒数は、2022年が449名、2023年が550名、2024年が634名と明らかな増加傾向です。

語学のハンデが学校生活のクオリティを下げ、学習意欲の低下や学力自体の低下にもつながってしまうため、早急な対応が必要です。

質問1-2

対象の児童生徒の現在の支援状況と課題について伺います。

答弁 

(教育委員会学校教育部教育指導課)  

支援体制として、日本語指導が必要な児童生徒が在籍する市立学校には、16人の「外国人児童生徒指導協力員」を派遣し、帰国・外国人児童生徒の学校生活への適応や日本語の学習指導に向けた個別支援などを行っております。

日本語指導を必要とする児童生徒が多く在籍する学校には、加配教員の配置を行い、特別の教育課程を編成した取り出しによる日本語指導の支援を図っております。

また、中学生を対象に、日本語で授業に無理なく参加できる力を育成する「千葉市日本語指導通級教室」の2箇所設置に加え、サテライト教室を1箇所設置し、学習言語の習得を目指した日本語指導や進路指導の充実を図っております。

課題としては、外国人児童生徒の母語の多言語化への対応や校内体制の整備と捉えております。

校内の体制整備が課題とのことですが、次の図〈スライド1〉は文部科学省の示す担当分掌の役割です。

千葉市の外国人等児童生徒の受け入れ体制は、各校に設置された国際理解教育主任を中心に、当該児童生徒の実態把握や支援方法の検討などを実施し、日本語指導の必要な児童生徒に対して、「特別の教育課程」を 編成し、指導を行うとのことですが、協力員や日本語ボランティア、加配教員他、通級等の様々な関係者と定期的なケース会議が行えていないと聞いており、児童生徒への支援についての関係者間の共通理解のため、今後改善が必要です

スライド1
スライド1

質問1-3

学校における日本語指導について、支援を始めるための手続きと、終了までの運用について現状と課題について伺います。

答弁 

(教育委員会学校教育部教育指導課)  

日本語指導を必要とする児童生徒が入学、転編入した際には、日本語による日常会話の力や読み書きの力等を踏まえ、外国人児童生徒指導協力員の配置やボランティア団体との連携、通級指導教室の利用等、当該児童生徒に適した支援方法を検討し、支援を開始しております。

その後、継続的な支援を経て、日本語の習得状況を鑑み、支援終了の判断をしております。

課題としては、日本語指導を必要とする児童生徒の増加や多言語化の中で、一人一人に適した支援を継続してくため、人的資源のさらなる効果的な活用が必要となっていることが挙げられます。

日本語指導の重要な資源であるボランティア団体、千葉市JSL児童・生徒支援の会は、学校での取り出し授業を支援されており、その報酬は1回1500円とのことです。

NPOちば教育夢工房が助成をしており、助成の関係上、1校に50回までしか行けないため、年度途中で支援が打ち切りとなってしまうケースもあるそうです。

支援内容を伺うと、非常勤職員として雇用するに値する方も多いと感じます。

千葉県では県立高校での外国人生徒等の相談支援を行う人材を時給2070円で募集していました。

 

 要 望
 千葉市の小・中学校で日本語支援する人材が不足する事態とならないため、
早急に、千葉市として日本語支援等の人材確保の予算を組み、体制を整えるよう強く要望いたします。

 

どの程度の期間ごとに習得状況を把握するのか、習得状況を何で測るのか、終了時期の基準などルールが不明確です。

また、日本語習得には適切な日本語教材が必要です。現在、教材を日本語指導の支援を行うボランティア団体が各自で用意をしている状態と聞きました。

質問1-4

教育委員会で定期的なアセスメントを行う仕組みづくり、および日本語教材の提供についての改善を求めますがご見解を伺います。

答弁 

(教育委員会学校教育部教育指導課)  

取り出しによる日本語指導を必要とする全ての児童生徒の習得状況については、日常会話や読み書きの力、授業中の学習状況について毎年5月と3月時点で各学校から報告されておりますが、その把握の方法として、より適切な測り方で運用されるアセスメントの確立に向けて、今後さらなる検討が必要であると認識しております。

また、教材については各学校において拡充に努めておりますが、特に対象児童生徒が少ない学校において配置が進んでいない状況も見られることから、効果的な教材の活用がなされるよう、教材の配置等を検討して参ります。

児童生徒への指導にあたっては、日本語指導の資格取得とは別に、子どもに向けての指導方法を学ぶ必要があります。

加配教員による日本語指導を行っていますが、資格のある先生は少ないと聞きます 。

 

質問1-5

日本語を教えるためには体系立てた研修が必要と考えますが、研修体制の強化についてお考えを伺います。

答弁 

(教育委員会学校教育部教育指導課)  

本市では、日本語指導が必要な児童生徒への指導の充実のため、担当者には年5回の研修を行っています。また、希望する教員に対して、教育センターにおいて日本語指導についての講座を開設しております。  

課題としては、日本語指導経験の有無や期間の長短、担当する児童生徒の日本語習得状況等が異なるなど、研修へのニーズは多様化しており、その対応が必要であると認識しています。そのため、研修の対象者や内容、回数などを精査し、今後の研修体制の充実に向けた検討を行って参ります

横浜市では、次の図〈スライド2〉のとおり、学校内では担当教員による国際教室と日本語講師による日本語教室で指導が行われています。就学前の母語による学校ガイダンスもあり、プレスクラスなど日本語指導の集中的なクラスで学ぶことができます。研修や教材もカリキュラム化されており、日本語指導を体系的に取り組んでいることが文部科学省の動画で使用されていることからもわかります

スライド2
スライド2

質問1-6

効果的な初期支援の習得方法として、初期に集中して取り組むプレクラスの必要性など、検討していることや今後の見通しについて伺います。

答弁 

(教育委員会学校教育部教育指導課)

(市民局市民自治推進部国際交流課)  

初期の日本語指導においては、日本語指導担当教員の配置や「外国人児童生徒指導協力員」等の派遣を中心に対応しておりますが、多言語化へ対応するため、体制づくり等のさらなる検討が必要と認識しております。

また、集中的に日本語初級の習得期間を設ける、いわゆる「プレクラス」については、他市の事例を参考に、調査・研究して参ります。

 要 望
 教育委員会は国際交流協会とも連携し、子どもたちの日本語支援体制を構築するためコーディネート機能の充実が求められます。
各校での手配が難しい日本語指導の人材確保や、習得状況に合わせた支援を計画的に行うためのカリキュラムの確立など、体制づくりを求めます。

3.小中学校以外での日本語支援

子どもたちが学ぶ地域の日本語教室の課題は、場所代などの運営費とスタッフの高齢化です。持続可能な運営のために、会場代の支援や、子どもの日本語学習を支援できる人材の育成が求められています。

質問1-7

地域のボランティアが運営する日本語教室への支援についてご見解を伺います。

答弁 

(市民局市民自治推進部国際交流課)  

地域の日本語教室への支援としましては、公益財団法人千葉市国際交流協会が行う「国際交流・国際協力団体活動助成金」を今年度拡充し、日本語学習の支援を強化しております。 具体的には、運営経費について助成額の上限を10万円から20万円に引き上げるとともに、新たに会場の使用料を対象経費に加えたところです。

また、支援者の人材育成については、千葉市国際交流協会において、多文化共生や日本語交流の基礎を学び、地域づくりの担い手を目指す方を対象に「日本語交流つなぎて講座」を開催し、その修了者が地域の日本語教室や千葉市国際交流協会で日本語学習支援者として活動しているほか、各種市民団体や施設窓口において外国人との橋渡し役としても活躍できるよう人材の育成に取り組んでいるところです。

各教室では公民館や各区社協の諸室を利用するなど、経費をかけない努力をされていますが、定期的な利用予約が取れないなど運営上の不便があります。

定期利用への支援を要望いたします。

また、国際交流協会を借りていた団体は、協会の移転に伴い、補助範囲を超える費用が掛かる場所を利用せざるを得ない状況もあり、運営継続が危ぶまれています。

貴重な日本語教室ですので、移転期間のみ補助を増やすこともご検討ください。

 

高校で日本語学習がない場合に、学校になじめず困難を抱えることがあるそうです。

 要 望
 県立高校での支援強化を要望することはもちろん、高校中退とならないためにも、地域での支援体制が必要です。
県市で連携し外国につながる若者が学び働くことに困難を抱えないよう支援の拡充を要望します。

若者支援について2

先月発表された2024年の小中高生の自殺数が暫定527人となり、過去最多です。

全世代では減少傾向にも関わらず、小中高生は前年比14人増と微増です。千葉市では第2期千葉市自殺対策計画の中、近年の傾向を踏まえ、重点取組施策として「女性へのサポート」を追加、生きる支援の具体的な取組では、子ども若者に関する事業を8つ、女性に関する事業も追加しています。 これまで私は若者に関連する様々な質問をしてきました。

・包括的性教育の中で、ユースクリニックの必要性

・困難を抱える若者の支援

・女性の健康対策の中で若者世代への働きかけ

・子どもの遊びの重要性とプレーパークの中で子どもの主体性を守る居場所の在り方、子どもの権利を守る条例の制定についてなど

その他、子ども・若者の居場所については何度も「居場所の在り方や指針を持ってほしい」と訴えてきました。

そこで、こども・若者基本条例の制定を機に、千葉市の若者支援の位置づけを再確認するため、質問をいたします。

 

1.こども・若者基本条例における若者の位置づけ

質問2-1

「若者」を条例名に盛り込んだ意味とこれまでの議論についてお示しください。

答弁 

 (こども未来局こども未来部こども企画課)  

全国的に生産年齢人口の減少が続く現状において、こどもや若者は現在と未来の社会を共につくっていく大切な存在であると考えていることから、他の自治体ではあまり例がありませんが、当事者である若者をはじめ多くの方にも、若者も本条例の主たる対象であると認識していただくため、条例名に若者を表記することといたしました。

また、附属機関である千葉市こども基本条例検討委員会においては、若者の中には、こどもの頃からの様々な問題が積み重なって、生きにくさを感じ、困難を抱えて暮らしている者も少なくないほか、社会的な経験が豊富でないため新たに困難な状況に陥るなど、若者特有の問題も懸念されることから、若者についても本条例の対象とするよう、議論がなされてきたところです。

若者の年齢への考え方など、様々な意見がある中で、「若者」を条例に位置付けたことは大きなメッセージです。困難を抱えた若者だけでなく、すべての若者が対象になりえる条例となり、評価いたします。条例に基づき、今後、若者施策が充実するよう、いくつかの視点で伺っていきます。

 

(1)若者支援の現状と課題について

10代20代の若者が相談できる機関として、こども・若者総合相談センターLinkをはじめ、生活自立・仕事相談センター・ひきこもり地域支援センター・発達障害者支援センター・女性のためのつながりサポート相談・福祉まるごとサポートセンター・障害者基幹相談センターその他就労支援など様々な相談窓口があります。

次のグラフ〈スライド3〉はLinkの相談件数の推移と窓口で対応するスタッフの人数です。認知が広がり相談件数は増えていますが、適切な支援が行える環境であるかが重要です。

スライド3
スライド3

質問2-2

Linkとして、本人の希望する支援が適切に行われているか、連携事例を含め、ご見解をお示しください。

答弁 

(こども未来局こども未来部健全育成課)  

「Link」が相談支援を行うにあたっては、相談者やその家族等の話を丁寧に伺いながら、教育・福祉・保健医療・雇用など、様々な分野の機関と連携し、本人の希望を踏まえて適切な支援に繋げるよう対応しております。

具体的な例としましては、発達障害者支援センターと連携し、ひきこもりの対象者に訪問支援を長期に継続した結果、対面での会話が可能となり、その後の職業安定所への就労支援に繋げた事例があるなど、継続的な機関連携により、解決に向けた支援ができているものと考えております。

 相談件数が増えた分、人員不足でアウトリーチできない状況も出てきていると聞きます。また、支援者や連携状況により支援内容が変わってしまう現状がないでしょうか。

質問2-3

同行支援、居場所、体験、就労支援等、支援体制の体系化や対応内容の検証が必要ではないか、ご見解をお示しください。

答弁 

(こども未来局こども未来部健全育成課)  

「Link」では、各支援機関への移行・つなぎの段階で支援が途切れることのないよう、子ども・若者支援協議会の構成機関をはじめとした各支援機関との連携強化に努めるとともに、対応するスタッフにより支援の偏りが生じないよう、定期的にスタッフ・ケース会議を開催し、支援方針の検討や支援内容の検証を行うなど、組織的な対応を行っております。

次の図〈スライド4〉は名古屋市子ども・若者総合相談センターのホームページに示された相談の流れで、様々な支援団体への連携や同行支援についても示されています。

 

発達障害のある人には、適切な医療機関を紹介することや、不登校の若者には本人に合った学びの方法を一緒に考えることなど、相談内容に応じた支援例が多く掲載されています。

 

スライド4
スライド4

さらに子どもたちのSOSを直接拾い上げるために、交流スペースの運営や「LINE相談」を行っています。相談員は活動を見守るなかで若者と信頼関係を築き、相談・解決につなげており、相談へのハードルを下げることで、「だるい」「死にたい」といったつぶやきを受け止め、会話を重ね、LINEの友達登録数は4000人以上となっているそうです。

 要 望
 Linkでも相談から丁寧に支援策につないでいると思いますが、今後ホームページで多様な支援内容を例示することや、LINE相談なども必要と考えます。若者自身が相談できる環境づくりのため、人員及び予算の拡充を要望します。

質問2-4

これまで若者支援を包括的に連携して行うために子ども・若者支援協議会が役割を担ってきました。コロナ禍で対面がなくなった以降の状況を伺います。

答弁 

(こども未来局こども未来部健全育成課)  

令和4年度以降は、対面で会議を開催するとともに、代表者会議においては、相談内容の多様化・複雑化に対応し、より効果的な支援につなげられるよう、子ども・若者支援協議会の構成機関の拡充に努めており、令和2年度に1団体、令和6年度にも3団体を新たに加え、現在は教育、福祉、保健医療、矯正・更生保護、雇用に関する公的機関だけでなく、民間団体を含む36団体が構成機関となっております。

また、各支援機関で相談や支援を担う担当者で構成される実務者会議では、実例を踏まえたワークショップや意見交換などを行うことにより、今後の支援対象に対するアプローチの仕方や、支援機関同士の連携をより深めることができていると考えております。

以前は高校生年齢の連携は難しいとのことでしたが、最近は教育センターが進学相談を対応するなど、支援につながる実効性の高い連携会議となっていることを評価しております。

一方、義務教育の中でスクールソーシャルワーカー等の支援をすでに受けていた場合に、

質問2-5

支援が途切れないよう、進学先のスクールソーシャルワーカー等の支援者へ情報共有する体制があるか伺います。

答弁 

(教育委員会学校教育部)  

令和4年度より本市のスクールソーシャルワーカーの定期的に行う会議において、県のスクールソーシャルワーカーが出席し、連携強化のための情報共有を図る機会を設けております

県市間で情報を共有する機会があることがわかりました。

スクールソーシャルワーカーはじめ、地域での支援ネットワーク構築の際にも、若者本人の意思表明を支援するアドボカシーが重要です。学校や地域でも実践可能な意思表明支援の構築を求めます。

 

(2)若者の居場所

第三の居場所「サードプレイス」は千葉市の若者にどの程度あるでしょうか。次のグラフははこども家庭庁の家・学校以外の居場所の有無についての調査で、小学生世代よりも若者世代で居場所がないと答える割合が顕著に多い状況です。

スライド5
スライド5

千葉市には昨年9月に若者の居場所としてユースセンターができました。

 ユースセンターとは10代20代の利用を想定しており、だれでも原則無料で利用でき、ユースワークが行えるユースワーカーがいるところで、県内で3か所目となります。

 ユースワークとは、京都のユースワーカー養成研究会によると、「若者を子どもから大人への移行期にいるすべての人として、若者が権利主体として自己選択と決定が保障される自由な活動の場を若者とともに形成し、若者及び若者とかかわる大人やコミュニティ、社会システムに働きかける実践」とされています。

 居場所は本人が選択して行く場所です。何かをさせられることはなく、自主的な活動ができる場所でもあり、目的なくても「居る」ことができる場所でもあります。活動拠点として、社会参画の起点になることもできる一方、日常のかかわりで、関係性ができることで雑談などの会話から「相談」が生まれることがあります。

質問2-6

千葉市における若者の居場所づくりについての現状と課題について伺います。

答弁 

(こども未来局こども未来部こども企画課)  

本市では、家庭でも学校でもない第三の居場所として、地域において信頼できる大人が見守る中で安全・安心に過ごせる、こどもの居場所づくりを進めており、18歳程度までのこどもを対象とした「どこでもこどもカフェ」が、1月末現在、市内32か所で運営されておりますが、若者を主たる対象とする居場所づくりについては、今後の検討課題となっております。

国の「こども大綱」や「こどもの居場所づくりに関する指針」を踏まえ、20代を含む若者の居場所づくりの重要性は認識しておりますが、その場を居場所と感じるかどうかは利用者本人が決めることであるため、利用者の視点に立ち、利用者の声を聴きながら居場所づくりを進める必要があると考えております。

居場所には、大人の後方支援も必要です。

千葉市の居場所サポーターやSOS支援員のさらなる活用や研修認定の手法については改善が必要かと思います。

先行している京都市では青少年活動センターが市内に7か所あり、30万人の若者に対してのべ50万人の利用、登録グループ約200団体、日常からつながった相談が年間約1500件あるそうです。

札幌市は5か所のyouth+で約2億円の予算、横浜市では地域ユースプラザが4か所で約1億3600万円の予算、と若者総合相談から支援につながる場を公が持ち、一般社団や公益財団法人など民間に委託されて運営されています。

京都、名古屋、神戸、横浜などでは、ユースワーカーの養成や研修を行う仕組みも進んでいます。

横浜市では『デートDV 理解と対応』『発達障がいの理解』『ヤングケアラーのSOSに気づいたら』『オーバードーズと身近な依存症』『ひとりひとりの「性」を大切にする』など、10回連続講座で研修が行われています。

 要 望
 千葉市でも早急にユースワークの行われる若者の居場所づくりを千葉市全体で支える仕組みづくりと予算の確保を求めます。

 

(4)身体について相談できる体制づくり

代表質疑ではプレコンセプションケアの推進について伺いました。

若者世代に自分自身の身体について正しい知識を持つための普及啓発のために、リーフレット等による周知を行っているとのことでしたが、身体や性についての疑問や不安などを気軽に相談できる環境も必要と考えます。  

10代女性の自殺数が伸びている背景に、性的ないじめや性暴力などがあるとされています。

2021年北海道旭川市で起こった中学生同士のいじめによる女子中学生の自殺は大きく報道されました。調査報告書では、いじめの防止の一番目の提言として「性教育」、しかも生殖や性交に加え、自分も他人も尊重するすべを幅広く学ぶ「包括的性教育」の推進を掲げたのが特徴です。

質問2-7

現在の相談状況と若者が相談しやすい体制づくりの現状についてお示しください。

答弁 

( 保健福祉局健康推進部健康支援課)  

本市においては、女性のための健康相談や母子健康包括支援センターにおいて、若い世代からの身体に関する相談を受け付けております。

女性のための健康相談における10代から20代の相談実績ですが、今年度は12月末時点で7件受けており、母子健康包括支援センターでは、思春期に関する相談を93件受けております。  

どちらも相談の受付が平日の日中のみであることや、若者からの認知度が低いことが課題であると認識しており、より相談しやすい体制づくりに向けて検討を進めて参ります。

10代20代が性に関する健康相談が気軽にできるように、Linkでも月経やダイエット、脱毛や整形のことなど体に関する相談も受けられるようにチラシ等に明記し、状況に応じて専門の機関に繋げることが必要ではないでしょうか。

 

スライド6
スライド6

東京都では思春期特有の健康上の悩みなどに対応する相談窓口「とうきょう若者ヘルスサポート」を設置し、<スライド6>のような伝わりやすい動画※1を作成し、広報しています。

緊急避妊の対応が必要な場合等には医療機関への同行支援を行い、費用も公費負担です。同様の取り組みを千葉市でも県と連携して行うよう要望いたします

 ※1 「相談するなら、わかさぽ」編 ロングバージョンはこちら

 

(5)千葉市の若者支援の今後

これまで若者を扱う部署がないことで情報連携は子ども・若者支援協議会でおこなわれ、Linkと各機関との連携は前進しました。一方で、地域人材・NPOとの密な連携や居場所等の紹介にまでは至っておらず、若者の日常に落とし込んだ更なる支援が必要です。

SOSが出しにくく、制度のはざまに落ちてしまいがちな若者への支援は、複数の部署で取り組んでいますが、これらを俯瞰して、包括的に取り組める体制をつくることが重要です。 条例制定を機に【こども若者支援室】が設置され、若者も課名に入ったことに期待をしておりますが、

質問2-7

所管事務は何を想定しているのか、お示しください。

 

答弁 

(こども未来局こども未来部こども企画課)  

こども若者支援室の主な業務としましては、こども・若者施策に関する全庁横断的な推進体制の運営や外部有識者の知見等を活用した施策の立案などを想定しております。

また、これまで取り組んできたこども・若者の社会参画の促進や居場所づくりに加え、意見表明機会の確保や、施策への反映のための意見聴取のほか、こども・若者の権利の周知啓発に関する取組みなどを所管することとしております

先週末に参加したこどもの居場所フォーラムの中で、若者がこれからの人口減少社会では若者の力を感じる都市でなければ生き残れない、と若者の声を活かしたまちづくりの重要性を訴えていました。

若者が元気でない都市は持続可能でないとの発言は、先日の総合政策局の予算審査で、指摘要望事項への対応として、人口減少抑制のために「(仮称)こども・若者会議」などの意見を踏まえ、こども・若者世代の視点に立った施策を検討していくとご説明いただいたことと通じると、千葉市の姿勢を嬉しく思いました。

 

次の図<スライド7>は現在パブリックコメント中の子ども若者プラン(素案)より、関連する主な計画と子ども若者プランの位置づけについて抜粋したものです。

スライド7
スライド7
 要 望
  子ども若者の権利保障や社会参画など、条例を踏まえた取組みにおいて、全ての若者が意見を表明できる環境となるよう、全庁的に取り組むことを要望します。