無所属の渡辺忍です。
本臨時会に市長から提出されました議案に賛成の立場から、討論を行います。
議案第97号 令和2年度千葉市一般会計補正予算(第6号)のうち、
(1) 避難所における3密対策について、です。
分散避難を推進するために、自治会集会所への短期的な避難を推進することは、大変評価しております。ただ、初期避難時に必須とされる簡易トイレや消毒物資などについては、配備がやはり必要と考えます。「集会所のトイレが使用できないような被害があった場合は、集会所の安全が確認できるまで指定避難所でトイレを利用していただきたい」とのご答弁でしたが、指定避難所へ行くことが困難な状況下で利用する避難者もいるのではないでしょうか。集会所のトイレが使用できる状況かどうかを誰が、どのように判断するのかという問題もあります。
自助・共助で対応することは一定の理解をしますが、もし今後簡易トイレ、消毒物資など配備をしないのであれば、自治会で寄付を募ったり、自治会費等で避難所備品として用意することが望ましい、と周知する必要があります。集会所は規模が小さいですが、弱者対応空間としては理想的と考えます。学校避難所等とのすみ分けを考え、集会所の特性を生かした使い方ができるよう、避難時の連携方法も含め、各避難所運営委員会で検討できるよう、市としての支援を要望します。
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(2) ふるさと納税を活用した地域コミュニティ支援について です。
地域コミュニティの運営はボランティアで行うことが当たり前のような風潮がありますが、人が動けば、移動にともなう交通費や最低限の事務費など、経費がかかります。一方で、利用者、参加者から利用料や参加費をとって行える事業ばかりではありません。
例えば、子どもたちや子育て中の親支援を行う団体、無料で学習支援を行う学生団体、高齢者の生活支援や子ども食堂など、低額の利用料を取ったとしても、運営費を賄える団体ばかりではありません。そういった団体が、市民に活動内容を知ってもらい、寄付をしてもらう仕組みである、新たな資金支援制度の創設には大変期待をするものです。
本制度導入後は、応募、審査を経て、順次システムへ登録していくことになりますが、良い制度も市民が知らなくては寄付につながることはありません。他にもふるさと納税で寄付をするべき様々な事業もありますが、残念ながらまだ市民に周知が徹底しているとは思えません。市民が寄付を考えたときに、選べる仕組みがあることは千葉市として素晴らしい取り組みです。今後も積極的な周知に努めることを求めます。
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(3) 新しい生活様式の下での文化芸術活動の支援について ですが、
今回の地方創生臨時交付金を財源とした4つの事業の活用状況や効果などを見極めながら、利用状況によっては柔軟に事業の見直しを図るよう期待いたします。真に新しい生活用式の下での文化芸術活動を応援する千葉市であるよう、今後の更なる支援にも期待いたします。
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(4) 就労継続支援事業所生産活動支援事業について です。
本制度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の影響を踏まえ、生産活動が停滞し減収となっている就労継続支援事業所に対し、その再起に向けて必要な費用を支援し、利用者の賃金・工賃の確保を図るため、必要な経費を補正するものです。
以前より事業者からは在宅での作業に切り替えられない知的障害の方などは欠席となり、利用給付がされず、また利用者への工賃の補償もあり、安全面の確保と経営面の両面から危機的状況であることが訴えられておりました。閉鎖をせずに事業継続するための支援につながる本制度については、大変評価するものです。
一方で、障がい福祉サービスは他にもあり、今回対象ではない千葉市独自の補助事業を行っているワークホーム事業や、昨日の委員会内でのご説明では事業者が手厚く守られているとするような、代替サービスでの利用給付が行われているような事業についても、実態をよく調査し、更なる支援拡充など検討する必要があると考えます。代替サービスで事業者は利用給付が受けられても、利用者家族にとっては、代替サービスで利用する意義はほとんどなく、施設利用できないことで、家族には大変な負担となっています。
特に、重度障がい児・者の通所、短期入所が大きく減らされている現状があり、一時であれば、家庭で見られるが、通常時ですらレスパイトがまともにできない保護者にとって、今回のコロナ禍における長期間の在宅介護は、虐待防止の観点からも対応が必要な事態が予測されます。
今後、行政による丁寧な実態調査を行い、現状把握に努め、対策を講ずるよう求めます。
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(5) 在宅保育支援給付金事業について です。
本事業は、コロナ禍における保育施設での保育に不安があるご家庭にとっての限定的な事業であれば、ひとつの選択肢として理解いたします。しかし、継続的に千葉市の事業として行っていくには、祖父母の労働を無償で提供することを前提とした、いわゆる善意の搾取となることを懸念します。実際に祖父母に預けたが間もなく断念して保育園に入れたという話は私自身の周りでも事例がいくつかあります。また、市内に親族が住んでいて、子どもを預けられる環境にある保護者がどの程度いるかも疑問です。社会で子育てを進めるためにも、ファミリーサポート事業に、定期預かり制度を新設したり、認可外施設での定期的な一時預かり事業へ補助金を新たに創設するなど、子どもプランでも目標値と実績が大きく乖離している一時保育枠を増やす取り組みを進めることこそ必要ではないでしょうか。今回はモデル事業とのことで、今後の申請動向や効果について注視させていただきたいと思います。
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(6)オンライン指導の環境整備について です。
第二回定例会のGIGAスクール構想の前倒しによる一人1台端末整備に関する質疑では、家庭でもつながる通信環境の整備については、検討していくとのご答弁で、対応の遅れを指摘しましたが、先日私が行った議案質疑でのご答弁では、「一人一台端末が実現されれば、すべての学年の児童生徒について、端末を家庭で使用できる環境が整備されることになります。」とのことで、全児童に対して、家庭でも利用可能な環境が整備されることが明確になり安心いたしました。もちろん、運用については、これからの検討であることは理解しますが、不登校児童生徒や特別支援級でのオンライン学習の充実についても検討を進めていくとの心強い答弁をいただきましたので、今後の体制整備に期待をいたします。
ただ、そのサポート体制としてはICT支援員が2名であることは問題です。一人1台端末導入の効果を上げるためには、大幅なICT支援員の増員は必須です。さらに、各学校での情報教育担当である【メディア主任】の役割は重要です。各校で先生方のモチベーションを最大限に生かすためにも、ICTに関して得意意識のある先生がぜひ担当になっていただき、苦手な先生も子どもたちと学び合い、ともに学ぶ姿勢を見せることで、子どもたちが自ら学び・育つ教育体制につながることを期待します。
また、先日の議案質疑において、保護者との連絡相談体制の整備が必要との私の見解に対し、保護者には周知をしっかりとしていく、との答弁には納得がいきません。家庭との連携に関しては周知のみではなく、ともに子どもを育てる姿勢を持てるよう、相談体制についても整備を進めていただくよう要望いたします。
以上で私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。